このページの要約
1. ナレッジベースシステムは思考改変ツール
突然ですが次のようなことに心当たりはありませんか?
心当たりがあるという方は、「ものごとの考えかた」に自信がないという状況ではないでしょうか。
これは誰もが経験することで、特に情報に対する「思考方法」が確立していないときによく起こります。
初っ端からいきなり思考方法の話をしましたが、このページのテーマはAIナレッジベース構築です。
いったい何の関係があるのか?と言われてしまいそうですが、実はとても密接で重要な関係があります。
結論から言うと、ナレッジベースは思考方法を効果的に変えるツールになり得るということです。
もっとわかりやすくまとめるなら思考改変ツールと言えます。
上であげたような苦手意識や問題をすべて解決しつつ、さらに強化・連携させてより大きな相乗効果(シナジー)を生み出すシステムなのです。
思考を変えてしまう!とかとても危ない感じがするかもしれませんが、思想や信念の話ではなくて、ものごとの捉え方考え方を合理的に整理整頓してスッキリさせる、そういう意味のものです。
以下では、一般的なナレッジベースと思考改変ツールとしてのナレッジベースの概念について説明します。
(この連載ではできるだけ専門用語を使わずに、わかりやすい平易な言葉で説明しようとする使命を勝手に負わせています。その分少し冗長な言い回しが多くなりますがご容赦ください。)
2. 一般的なナレッジベースシステム
ナレッジベースという言葉をgoo辞書で引くと次のように説明があります。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
企業などの組織に蓄積される知識情報をまとめた、ナレッジマネージメントのためのデータベース。特に、コンピューター上で検索・閲覧できるよう共有・整備されたものを指す。ナレッジベース。
要約すると知識情報をデータベース化し、コンピューター上で検索できるようにしたもの、となっています。
この定義によると主に「蓄積」「検索」「閲覧」「共有」「整備」という5つの要素で成り立っているようです。
最後の「整備」については捉え方にもよりますが、データベースから取り出した情報をどう利用していくかを整備する、という意味に思われます(メンテナンス的な意味合いは今回割愛します)。
実際に、単純に検索・閲覧・共有できればいいというものではないというのは、世間に数多くのナレッジベース製品が生み出されていることからもわかります。
いったん保管(INPUT)された情報を、利用する者が目的に合わせて情報をどう利用(OUTPUT)するかは、業種業態業務によって様々だからです。
なのでgoo辞書の定義に少しニュアンスを足して、「どう利用されるかをセットで考えて作り込まれた情報蓄積のシステム」というのがより正確なイメージに近いですね。
ひと昔前は、どう利用されるかまでをセットで組み込んで作り込まれたオーダーメイド型のシステムが流行したのですが、今はあまり採用されなくなってきました。
今は汎用的に枠組みだけを用意して、どう「整備」するか、つまりどう利用するかの処理部分は利用者がカスタマイズできるようになっています。
経営や業務の変化のスピードに対応するには現場サイドである程度のカスタムができるようなシステムの方が好まれます。
まとめますと、一般的に言うナレッジベースとは次のように言えます。
「企業や組織に蓄積された知識情報をまとめ、検索や閲覧、共有、整備できるデータベースのことを指し、さらに情報をどう利用するかを考慮して設計されたシステム。」
3. 思考改変ツールとしてのナレッジベースシステム
さてここで冒頭の思考方法の話題に戻ります。
4つの苦手を挙げましたが、これは単に個人として苦手かどうかという範囲にとどまらず、ナレッジベースを使う人やチーム、グループ間でも発生するネガティブな要素と同じだと思いませんか?
例えばこの4つの苦手を、逆にポジティブな意味の文章に変えてみましょう。
どうでしょうか。
ナレッジベースシステムを使う人は、システムから取り出した情報をもとに、こういったポジティブな状況になっていることが理想だと思いませんか?
どんなに立派なシステムだろうと、知識情報をシステムにINPUTするのもOUTPUTするのも基本的には「ひとりの個人」です。
最終的には個人の情報の扱い方や理解のしかたがそのままデータの品質に関わってきます。
何が言いたいかというと、ナレッジベースシステムと使う人の思考方法はセットだということです。
ナレッジベースが単に情報を入れておくだけ、取り出しやすいだけの入れ物ではなく、思考方法までを考慮してうまく設計されたものなら、先ほどのポジティブな状況を作り出すことができます。
思考方法をセットにしたらどうなるか、一般的なナレッジベースの流れから確認してみます。(フローを描く)
脳みそ → ①データを作る(OUTPUT)→ データ → ②データ入力(INPUT)→ ナレッジベース(蓄積)→ 検索 → ③データ出力(OUTPUT) → ④理解する (INPUT) → ⑤活かす・想像する (OUTPUT)
- 入力データを準備(OUTPUT)
- データ入力(INPUT)
- データ出力(OUTPUT)
- 理解する(INPUT)
- 活かす・創造する(OUTPUT)
どんなナレッジベースもこの流れになりますが、ここにちょっと仕掛けをします。
②データ入力(INPUT)の方法はシステム側であらかじめ決められています。
①入力データを準備をするための思考プロセス(OUTPUT)は、②データ入力(INPUT)に合わせて行われます。
ここで各人各様の思考プロセスは入力フォーマットに従って半ば強制的に、(無意識下で)一定の目的に沿うように整理させることができます。
同様に取り出したデータを確認して④理解する(INPUT)過程においても、システム側から論理的・形式的なフォーマットで出力されたもので見ることになるので、意図的な方向性のある意味づけに誘導されることになります。
つまりシステムがINPUTを整理して、適切な抽象化を施してOUTPUTを作り出す。
この巧妙な仕掛けによってどんなに複雑で難しい事柄でも、スムーズに理解して判断に直結するような状況を生み出す。
使えば使うほどに、仕掛けられた合理的で効率的な思考パターンを脳に刷り込まれる。
これはもう思考改変ツールだというわけですね。
ザックリすぎて、ちょっと何言ってるかわかんない状態かもしれませんね。
(今の段階ではなんだかぼんやりと「そんなものかな」という感じかもしれませんが、この先どんどんと解像度を上げていくことでスッキリ理解できるようになる予定ですので安心してください。)
次回以降は少しずつ具体的にその内実に迫っていきます。
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